般若心経とは
成立・歴史・宗派

日本でいちばん広く読まれているお経が、般若心経です。 法要で耳にしたことがある、写経で書いたことがある、という方は多いはずですが、 そもそも何のお経で、いつ生まれたものなのかは意外と知られていません。順に見ていきます。

01正式な名前と長さ

般若心経の正式名称は「摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはらみったしんぎょう)」です。 冒頭に「仏説」を付けて「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」と呼ぶこともあります。

本文はおよそ262文字。日本で読まれる仏教経典のなかでは、際立って短い部類に入ります。 この短さが、暗記や写経の題材として広まった大きな理由です。 全文はふりがな・現代語訳つきのページに掲載しています。

02何が書かれているのか

中心にあるのは「空(くう)」という考え方です。 あらゆるものは互いに関わり合いながら移り変わっていて、 「これは絶対にこういうものだ」と固定できる実体は無い——という見方を指します。

お経は、観音さま(観自在菩薩)が釈迦の弟子・舎利子に語りかける形で進みます。 前半で「空」とは何かを示し、中盤で「無」を重ねてこだわりを外していき、 終盤で「だからおそれもない」と結んで、最後に真言(マントラ)で締めくくられます。 流れは意味のページで9つの場面に分けて追えます。

03いつ、どこで生まれたか

もとになったのは、インドで成立した「般若経」と呼ばれる一群の経典です。 その分量は膨大で、代表的な『大般若波羅蜜多経』は600巻にもなります。 般若心経は、その核心にあたる部分だけを短くまとめたものと位置づけられています。

日本で読まれている漢訳は、7世紀の唐の僧・玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)によるものと伝えられます。 玄奘はインドへ旅して大量の経典を持ち帰り、漢訳した人物で、 『西遊記』の三蔵法師のモデルとしても知られています。 作者そのものは特定されていません。

04どの宗派で読まれるか

宗派般若心経
真言宗読まれる。写経の題材としてもよく用いられます
天台宗読まれる
曹洞宗・臨済宗(禅宗)読まれる。日々のおつとめで唱えられます
浄土宗読まれることがある
浄土真宗通常は読まれない
日蓮宗通常は読まれない

特定の一宗派に属さない経典なので、宗派を問わず個人で唱えても差し支えありません。 菩提寺がある方は、そちらの作法にそろえると迷いがなくなります。

05いつ唱えるものか

法要や葬儀で僧侶が読むほか、日々のおつとめとして自宅の仏壇の前で唱える形、 写経として書き写す形、巡礼で納経する形など、関わり方はさまざまです。 決まった時間や回数はありません。唱え方のページに基本をまとめています。

FAQよくある質問

般若心経は誰が書いたお経ですか?

作者は特定されていません。インドで成立した経典を、7世紀の中国で玄奘三蔵が漢訳したものが、日本で読まれている般若心経として伝わっています。

何のためのお経ですか?

「空(くう)」というものの見方を短くまとめた経典です。膨大な般若経典群の核心だけを取り出したものと位置づけられています。

どの宗派で読まれますか?

天台宗・真言宗・禅宗(曹洞宗・臨済宗)・浄土宗など、幅広い宗派で読まれています。一方、浄土真宗と日蓮宗では通常は読まれません。

なぜ日本でこれほど広まったのですか?

短くて覚えやすいこと、特定の宗派に閉じないこと、写経の題材として扱いやすいことが重なった結果と説明されます。

「摩訶般若波羅蜜多心経」とはどういう意味ですか?

摩訶は「偉大な」、般若は「智慧」、波羅蜜多は「向こう岸へ渡ること」。つまり「偉大な智慧によってさとりに至る、その心髄を説くお経」という題名です。

成立年代や訳者については諸説あります。ここでは一般に知られている説明にそっています。
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